お墓を持たずに供養する方法

お墓を持たないという選択とは

お墓を持たずに供養する方法

遺品整理などでご遺族様から聞かれることで多いのはお墓に関することです。
保険クリニックが行った調査では、先祖代々のお墓がある方は全体の58%、お墓がない方が42%、先祖代々のお墓がない方での52%が購入の意思がないといった結果が出ています。
お墓参りなどの手間を考えるとお墓が必要なのか、それとも供養する気持ちがあれば違った形でもいいのか、悩む方が増えてきているようです。

確かに、お墓は高額なこともありますが、永代供養や永代使用料など難しいことばかり、お墓の掃除やお参りなど、なるべく誰にも負担をかけることなく供養してほしいと考えている人も多いと思います。

今回はお墓を持たない選択肢としての供養法として、お墓を持たない方々の選択肢をご紹介します。

●海洋散骨

近年、浸透してきたのが “海洋散骨” です。
海洋葬とも言いますが、一般的に業者にお願いする委託散骨だと5万円~10万円程度、遺族参加での合同散骨は10万円~20万円程度、ご遺族のみで海洋散骨する場合は15万円~40万円程度と幅があります。
海洋散骨はお別れのセレモニーや散骨証明書などを発行してくれる業者もあります。
故人の遺志などによって、自分の希望する場所に還りたい、のびのびとした大自然の中で眠らせてあげたい、そんな思いが込められているケースが多いようです。

また、近年では海洋散骨だけではなく、ヘリコプターをチャーターして行う “空中散骨” や、 “宇宙散骨” などもあります。
ちなみに、散骨された有名人は「石原裕次郎」、「横山やすし」、「hide」など。

●樹木葬

樹木葬は、自然葬のひとつ、家や宗教に縛られず、ゆっくり眠りたいと思う人の支持を集めています。
許可を得た墓地(霊園)に遺骨を埋葬し、文字通り花や木などの樹木を墓石の代わりとした埋葬の仕方で、継承者が居なくても購入でき、墓地や霊園によっては年間管理料が不要なところもありますが、一般的に墓地を購入して墓石を建てる費用が200~300万円なのに対し、樹木葬の相場は15万~50万円となります。

墓石の代わりとして用いられる樹木は大きくならない低木が一般的で、ハナミズキ、サルスベリ、ウメモドキ、エゾアジサイ、ムシカリ、ツリバナ、モミジ等、植樹する地域で生育できること、生態系に悪影響を与えないことなどが配慮されています。
海洋散骨に比べると、樹木という “しるべ” が、お墓の形態に近いのも、注目を集めている一因でしょう。

●手元供養

以前まではタブー視されていた手元供養ですが、現代社会では認知度が上がってきている手元供養、「納骨するのは寂しい…」「大切な人を身近で供養したい…」「寂しさもあり離れがたい…」という故人に対する思いから選ばれている方法です。
手元において供養するため、費用はというと、手元供養品の購入費のみとなるので、数千円~10万円とかなり格安です。

しかし、この手元供養は、お墓参りをしようとしても故人の自宅に行かないと供養ができないことや、手元供養していた親族が亡くなってしまった場合、誰がその遺骨を引き継ぐのかといったようなデメリットも予測されます。

大切なのは故人をしのぶ思い

供養する方法は様々あるが、どれもメリット、デメリットが存在します。
特に墓石を持たないという選択は、親族などから叱責される場合も考えられます。
少子化や核家族化が進んでいる昨今、お墓の掃除やお参り、費用など、経済面だけではなく、ご本人や親族が納得のいく方法を、家族で考えてみてください。
何よりも大切なのは、故人の希望、そして故人を思う心ですよ。