エンディングノートと遺言書の違いは?
前回、エンディングノートについて考えるという記事を書きましたが、エンディングノートを知るにつれて、遺言書と何が違うのだろう?と思われる方もいらっしゃるでしょう。
そこで、エンディングノートと遺言書との違いについて見ていきましょう。
遺言書もエンディングノートも自分に万が一のことがあった時に、自分の財産を誰に相続させたいか、残された家族に葬儀の希望などを記載することができます。
では遺言書との違いはなんなのでしょうか?
それは、遺言書には法的効力があるということです。
一方、エンディングノートには法的効力がないため、財産をこのように分けて欲しいと書いたところで効力はありません。
では、エンディングノートはあまり意味がないのでは…と思われがちですが、法的効力がない反面、形式や書き方にとらわれることなく、自由に書き残すことができます。
最後に自分の意志やメッセージを伝えるためのノートですね。
法的効力はないですが、例えば、面と向かって言うには恥ずかしいけれど、大切な方へメッセージを残したいといった場合や、ペットをエサの指定やどのように飼育していたといったことまで、日常のちょっとしたことなど何でもいいのです。
エンディングノートより遺言書が優先
遺言書を作成している場合、その内容は基本的に最優先となります。
つまり、遺言書で「財産を○○に相続させる」と記載すれば基本的にそのとおりとなりますが、遺留分をきちんと考慮する必要もあります。
遺留分とは、相続人に対して最低限保証されている財産です。
遺留分は、配偶者や子供など被相続人の経済的な基礎を損なわないようにするために設けられた制度で、配偶者、子や孫などの直系卑属がいる場合は被相続人の財産の2分の1、父や母などの直系尊属だけが相続人の場合は3分の1と決められています。
(法定相続人の第3順位である兄弟は、遺留分を保証されていません。)
遺言書で「自分が死んだら、○○に全財産をあげる」という遺言書を作られてしまうと、残された家族は気の毒になりますよね。
ですから、民法では最低限相続できる財産を、遺留分として保証しているのです。
上記のようなケースの場合、遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)と呼ばれる権利を使い、侵害されている遺留分を取り戻すことが可能です。
「いりゅうぶんげんさいせいきゅう…?」そんな難しい言葉で言われもわかりませんよね。
遺言書は専門家でないと作成できないわけではありません、なので一番の理想は、遺産分割や相続にかかる内容は家族で生前に話し合い遺言書に残すことです。
必要な場合に限り、行政書士や司法書士といった専門家の方へ依頼しましょう。